しあわせな人は世間なんか見ない
国会なんかには行かない
残念ながらね
頭のしあわせな人
というのも含めてね
皮肉や諧謔っていうのは
どんな時にも必要
イギリス人たちにさんざん学んだものさ
自嘲も
うまく使えばいい味が出る
責任逃れにも
役に立つし
しあわせな人は
しあわせなんて言葉は使わない
平和も祈らない
戦争反対もしない
祈りも反対も
じぶんより巧みに
不可思議な情熱をこめてやる連中が
なぜかこの世には
ごまんといるのを知っているから
頭のしあわせなやつ
と言われても
しあわせな人は怒りもしない
大事なのはつねに
表には立たず
自分の時間を
他人のためにも
世間のためにも
費やさないこと
世間と人類は違うと知っていること
だいたい
人類だって
たゞの酔いやすい言葉の場合が
ほとんど
そうしてつねに
人びとの
世間の裏をかくこと
どんな時代にも
瞬間にも
かならずエアポケットがある
安全で居心地がよく
適度な温度で
春のうららかな日のような
秋のさわやかな昼のような
たったひとりか
数人しか入れないような
小さな小さな空間
そこを瞬時に
見つけて入り込むこと
周囲では爆弾がさく裂し
津波や山崩れが立て続けに起こり
阿鼻叫喚の光景が広がっても
エアポケットの中から
眺め続けること
世界を救おうなどと
愚かなことは思わないこと
救う思いが
数十年後に新たなホロコーストを
かならず引き起こしてきた
歴史だけは学び続けておくこと
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