2025年12月11日木曜日

岩づくりの便器神社群を前に

 


 

夢のような

 

といえば

ちょっとほんわかした

気分のいい

うっとりするような世界か

と思うが

 

実際に見る夢は

やけに地味な

現実的このうえない光景

だったりする

 

どこかの洞窟じみたカフェの

夢で見た

地下のトイレも

なかなか

ひどかった

 

きたない

というわけではない

だが

 

どこかの火山の麓のように

溶岩の柱みたいな

打ちっぱなしのコンクリートや

本当の溶岩のかたまりや

壁づくりに使われるブロックなどで

大小の小山が並んでいる

なんだかとんでもないトイレで

それらの山の上に

いちいち便器が置かれている

 

個室になっておらず

大小便をいたそうとする者は

それら小山に上って便器に腰を下ろし

まわりに裸の尻を晒したかっこうで

用を足さねばならない

 

それだけなら

まだしも

便器山のひとつひとつは

いちいち高さが違っているし

便器の種類も大きさも形状も違っているので

ある便器のとなりの便器は

ずいぶん下に位置していることもある

 

使う便器によっては

晒す尻に接しそうになるほど近くに

となりの便器に座る人の顔があったりするので

排便の際に出るいろいろな音を

どう控えめにしようかと

つねづね考えざるをえなくなって

どうにも使い心地が悪い

 

参ったなあ

どうしようかなあ

とりあえずは

どの便器を選ぼうかなあ

などと悩みながら

何十個あるんだかわからないような

岩づくりの便器神社群を前に

呆然と立ちすくんでしまっている

 

 




0 件のコメント: