2014年7月30日水曜日

その紙一重を行き来できるような




殺された子たちが
夢から
次々
醒めるころ

たぶん
この世の
残酷な食べものでは
もう口に合わないから
だれも
ここでは
考えつけもしない食べものを
いそいで
発明しないといけない

生きていることと
死んだこと

その紙一重を
行き来できるような
指先で
また
思いで





夢のうち

  

ことしの
夏も
いま
真っさかり

疲れた土に
ひ弱そうなのに
蒔いてみた
朝顔の種

いくつかが
プランターで
ことしは
意外なほどの花ざかり

毎朝
濃紺と紫の混ざった
つよい花を
いくつも開かせる

まだ暑くないうち
しずかな中
見つめるのが楽しみ
蝉も鳴かぬうち

蝉が鳴き出すと
ぐっと温度もあがり
からだで生きているのを
思い出させられる

からだを
忘れていられる時間に
咲き出た朝顔を残し
からだを養う流れに戻る

もちろんその流れも
夢のうち
夢の夢の夢の夢のまだ夢の
外から来ても

夢のうち




なぺなぺ有理




詩がひそひそと
しおしおと
鬱々と
ワタクシを吐露する
ふりをする
時代もあった

ワタクシの
垂れ流し方が発見され
流れに乗って
詩人たちが
オレのワタクシ
ワタシのワタクシ
アタシのワタクシを
あっちこっちで
吐露
吐露
していた
それだけでは鬱陶しいので
薔薇園を添えたり
海の風景や
嵐や
山や雲やと
描写も添えたり

そんな時代もあった
ということ
それだけのこと

いまも
詩人たちは
じぶんのワタクシを
うるさいほど
吐露
吐露
しているようだが
それほど
たいしたワタクシを持ってないので
うすっぺらの
ペナペナなワタクシなので
どこかのオジサン
オバサン
あるいは神経質娘が
ヘンなことばづかいをして
ひとりでイッテるように
見えるだけ

そんな時代もあった
ということに
なる
いずれ
それだけのことに
なる
いずれ

そんな時代なのだ
いま

ワタクシはぺなぺなでも
ワタクシのまわり
一ミリほど離れたまわりでさえ
ぺなぺなでは
ないかもしれないぞ

絶望するなかれ

ぺなぺなワタクシ
使いよう

ぺなぺな詩
いいんで
ないの

逆立ちさせれば
なぺなぺ

いいんで
ないの

なぺなぺ
理あり

なぺなぺ有理




まぁ こんなもの




ガザばかりでなく
ウクライナも
アフリカも
イラクも
シリアも
もう
あちこちで殺しあい
あるいは
一方的な勢いでの殺しまくり

それに
日本の近未来における
集団的自衛権の危うさはどうか
それとも杞憂か

国際法学者や
平和学の学者なら
どんな見解を聞かせてくれるだろう
そう思って
ひと晩
飲み食いしながら話してみたが
こちらが漁っている以上の情報など
まったく知ってもおらず
格別の思索をめぐらしているわけでもなく

結婚したいだの
子どもがほしいだの
子どもができれば
配偶者などどうでもいいだの
いまの恋人は
じぶんの話をよく聞いてくれないだの

国連にもいて
外務省にもいた人が
まぁ
こんなもの

ガザばかりでなく
ウクライナも
アフリカも
イラクも
シリアも
じぶんの専門地域じゃないので…

まぁ
こんなもの





平等にみんなに



  
ポジティヴ・シンキングとか
楽観思考とか
創造的な明るい姿勢とか
頑張ればできるとか
なんとか

ガザで殺された人びと
子どもたち
あれらの顔や
からだを
からだの切れはしを
からだだったはずのものを
数百とまではいかなくてもいい
数十ぐらい
写真で見てから
おなじことを
主張し続けてごらん

それでも
おなじことを言い続けられるなら
ほんもの

次のステップは
じぶんの子どもの頭が
砲弾の破片でスッ飛ばされた後に
おなじことが
言い続けられるかどうか
じぶんの手足が
ワカメのような肉片にちぎれた後に
おなじ気概でいられるかどうか

神さま
どうぞ人類のみんなに
そのひとに合った
さらなるステップを
お与えくださいますように
みんなのからだが引き千切られ
脳がすっとび
家族も友も恋人も
目の前で銃殺される経験を
平等にみんなに
お与えくださいますように

































威張っていたそうだ




妻が招待されて
暑い中いやいやながら
大相撲名古屋場所に行ってみると
中日新聞の記者がいて
ずいぶん威張っていたそうだ

日経新聞や朝日新聞の記者が
なにかと偉そうにしているのは有名で
どこでも鼻つまみだが
中日新聞の記者も
まるで日経新聞や朝日新聞の記者のように
威張っていたそうだ

日経新聞や朝日新聞の記者でもないというのに
日経新聞や朝日新聞の記者のように

中日新聞の記者なのに




2014年7月29日火曜日

ついでにホーホケキョ



 
イランの最高指導者が
ガザに武器提供しようと決めたとか
イスラエルにやられっぱなしでは
ガザがかわいそうだから
…と
人情と任侠にあふれた
近頃じゃあ
ちょいといいお話

…なわけはないがネ
武器が渡る先はハマスだから
(連中だってひどいものだ
(ふつうの住民がいる近所から
(ミサイルなんぞ
(やるんじゃないよ

だがね
イスラエルがやり過ぎなのを見て
世界中で心を決めた人びとは
今度という今度は
多いだろう

とりあえずイスラエルを根絶やしにしよう
殺されたパレスチナ人の数ぐらいは
最低限死んでもらおう
そうじゃなきゃ運命の秤が傾いたまゝ
イスラエルの原発が攻撃されようが
核兵器が落とされようが
あそこになにが起こっても
ほら見たことか
バチが当たったよ
武装もしてない普通のガザの人たちを
あんなに平然と殺しまくったんだからね
しかもパレスチナ人の土地に
勝手に入り込んで来て
かたっぱしからパレスチナ人を殺し
追い出して
ここは自分の領土だなんて言い張った連中だからね
ほら見たことか
ほら見たことか
なんて

そうして
たゞ見ておくことにしよう
できれば
イスラエルなんてものがあった歴史記述も
ひそやかに
たくみに
じんわりと
この世の記憶から消し去っていこう
なんて

世界中で心を決めた人びとは
今度という今度は
多いだろう

滅ぶべきものを
滅ぶがままにしていく
とか
戦争を
止めもせずに
ただ見ているとか

そんな戦い方もある

何千年かかろうが
機を見て
そういうことをしてやる

そんな落し前のつけ方もある

いや、なに
アタシのことじゃ
ゴザンセンがね

アナタがたの心を
代わりに表白してさしあげてるだけで

アナタがた
けっこう
過激ですなァ

けっこう
かっこう
カッコウ

ついでに
ホーホケキョ