2012年6月17日日曜日

耳の心


けっきょく世界はかわらない
に一票
人心はどんどん腐っていく
に一票

さてどうすべきか
などと考えずに
渭水に釣糸を垂れに行こう
しとやかに朝の雨は降り
道の塵は潤い
柳の木々は
やわらかに緑あざやか

古来変わらぬ
釣人の舟上の姿に
魚たちもあいかわらずの
水中の舞い
釣られなかったり
釣られたり
遠くに霞む岸や
山の麓のほうまで
舟にあたった小波の音も
ながく
ながく
渡っていくではないか

(こんなところで
(太公望らや文王らは
(まだまだ
(出会い続けていくかもしれない

いまの渭水は
中国でも飛びきりの公害の河
しかし岑參
王維
陸游
歌い続けているよ

渭水東流去!

把酒何妨聴渭城!

勧君更尽一杯酒!

西出陽関無故人!

遠くに霞む岸や
山の麓のほうまで
ながく
ながく
渡っていく
言の葉の
心よ

渭水東流去!

渭水東流去!

その東の先で
渡ってくる言の葉を
すなどる
わたくしの耳
耳の心

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