2014年4月13日日曜日

とても悪いものが



とても悪いものが近づいている
もう心と思いの土壌はできているからそれに呼ばれて
とても悪いものが近づいている
いま成人していない子らも
血を地に注ぐために生贄としてのみ生れてきている
これから時期悪しく生れる子らも
肉を大地の肥やしにするためにのみ生れてきている
人間をなにか特別な敬われるべきものであるかのように
他の生物たち無生物たちが思っていつまでも黙っているとでも思うのか
誤り続けた者たちの連鎖の裔の若者たちの手足はもがれ内臓は噴き出て
大地と海を聖別するため新たにするために使われる
まだ正気を保っているかのような人びとの精神からも
少しずつネジや歯車が引き抜かれ
人間の生や社会を深く激しく蝕むよう後戻りできぬかたちで働いていく
近づいてきている悪いものは
一度や二度の大爆発のように目を引くものではなく
疫病のようにじわじわとゆっくり人間たちの体内に体外に広がる
それはどのように現われるか
それはどのように現われるか
無関心として
見て見ぬふりとして
心の視界狭窄として
いっそうの感情の抑制として
ほうぼうで弱ったものがただ萎れていく静けさとして
時分の勢いの側に動物的に身を擦り寄せる大勢の者たちの臭いとし
健康と自負していた者のからだに染み込む透明の甘苦い汁のようなものとして
いまの時代に生きているものが誰も堪えぬいていけないほどの
想像を絶した長さの心と神経の汚泥の時代のひたひたと寄せるさざ波として

持たざるものが持つものを容赦なく消滅されることからしか
既にあるものの情け無用の排除からしか
もはや風穴は開きようもなく
それだけがとても悪いものをもっと悪くないものに
かろうじて変え得る
さもなければ
とても悪いものが近づいてくる
もう心と思いの土壌はできているからそれに呼ばれて
とても悪いものが近づいてくる





0 件のコメント: