水さ

  

まよわない煙が

ブルーライト

流れて

窓辺にも

ほそい清流の

さざめき

遠い

思い

深い

色の思い出せない

花の原の

むこう

きみ

と言う

言っていた

頃の

途惑いのハイウェイ

そんなに

キャラメル

そう

スザンナ

路地から次の

塀沿いに

埃

短いズボンも

鞄重くて

風

髪の香り

あゝビルだビルだビルだね

回っている広告塔

山並み

雨をタクシー

最後の煙草一本

出発ロビー

いつまでも待っている

赤い街道

横に長い雲が供

手帳

いちばん小さいのを

破って

新しい歌謡曲

次の歌謡曲

雑音

眩しいね

しわくちゃのハンカチ

番地

目の乾き

喉

上着一枚だけ

風

風だ

案山子みたいな

あれは

葡萄の木々

未来を思い出している

のかもしれない

のかもしれない

過去は沼

思い出すまでもないから

水

まだ緑濃い

雑貨屋の扉の

塗装の

剥げ

ちょっとだけ

食べたい

薄いハムかなにか

挿めて

波の音が近い

海

じゃないはずなのに

ジンジャエール

いや

たゞの水で

いいんだけどね

水

水さ