整理が枯れ蔓にまだ揺れている
十三季もある地方の
饐えた村の
家族全員が死に絶えた
立派なお屋敷の
中庭の
水の豊かに清く湧き出続けている井戸の端の
イチジクの木
数本
分厚いコートを着てきて
本当に
よかった
昼過ぎから急に冷えてきているし
それに
肘のあたりを
見えもしない手が
突っついたり
引っぱってきたり
しているから
必要もない外国語を
無性に学びたくなる荒野がある
髪の毛を
はげしく吹かれながら
もう
死んでいるのも同じじゃないかと
目を細めながら
つぶりながら
しきりに思うが
そうしながら
ワタシハイマ一本ノシナヤカナ木デス
などと
新たな言語で作文を始めている
家族全員が死に絶えた
立派なお屋敷の大きさはなんとも本当に大きい
これを飲み込むのだ
この大きさを
はるかに小さなウワバミとして
飲み込むのだ
朝日など
もう
上らなくていい
と
くっきりした魂の峠を越えてしまって
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