ふるさとのように
ほのか
甘い菓子をひと箱もらって帰る
ふるさとからあまりに遠い
大都市の運河沿いの
小径
から数本
入った
小径
からさらに入った
小さな家
なので
からさら
と名づけている
秘密めいた
唯一の
居どころに
帰りついたものの
わざと明かりを灯さずにそっと靴を脱いで
玄関から上がり
じぶんの居どころ
だというのに
泥棒かなにかのように
亡霊かなにかのように
音も立てず
そぶりも感じとられないように
ひっそりと
闇の廊下を進んで
いき始めた
まゝ
ずっと
進み続けている
ずっと
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