(私は旅に出なければなりませぬ、
(私は絶対に旅に出なければなりませぬ、…と
(ほぼそのように折口信夫が語っていたのは
(どこでだったか、
(どこの書簡でだったか、
(柳田國男宛のだったか、…
私もまた旅に出て
旅より帰ると
ああ、
旅づいた心と
異邦の水と空気に染まった
からだが
また旅に出ようとして
落ち着かぬ…
詩に
逢着するため?
旅に
出るのは?
(「詩学」編集長、ふたたび隆盛させようとの
(計画のなかばで逝った寺西さんは
(詩は言葉の寺
(詩は言葉の寺
(よく、そう言っていた
(寺西さん、
(寺西さぁん、
(ある夜、帰宅せず、「詩学」編集部で逝ったまま、
(どこへ行ったのかしらね、
(そろそろ、
(また東京に、戻ってくるかしら?
詩は言の寺
寺が見えないものを祀り
見えないものへ向かうように
詩は言葉ならぬものを祀り
言葉ならぬものに向かう
言葉ならぬものに
向かわずして
なんの
旅
(私は旅に出なければなりませぬ、
(私は絶対に旅に出なければなりませぬ、…
折口さん、…
課されるように
旅という
大きな
やわらかい餅が
どこにも
かしこにも
べったり
転がっている
そのなかへ…
べったりの、なかへ…
詩は言の寺…
見えないものを祀り…
言葉ならぬものを祀り…
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