2013年10月13日日曜日

こちらの時間とは





 

また午前三時
と思うが
わたしの時間は
もう
数字通りに経ていかない

午前三時を時針が過ぎるやいなや
きっと

時計は午後十二時二分を指す
さあなにか食べようか
なにを食べようかな
生徒たちが建物の中に入るので
遠くない小学校では
ふっと校庭が静かになる
かちゃかちゃ音がするのは
給食の食器がぶつかって鳴る音

午後十二時三分になろうとすると
きっと

時計は午後四時十分を指す
仕事はまだ終わらないが
もう一日は終わっていくような感じ
ちょっと休息に出た戸外は
夕方のひかりに移ろうとしている
日射しのまだ強いような
淡くなっているような
夕方は人生に朱が沁み通ってくる
さびしくはないが
がむしゃらに一からなにか始める力は
だいぶ目減りしてしまっていて

午後四時十一分になろうとすると
きっと

時計は午前五時五十九分を指す
都会はまだ始まりきっていないが
遠くまで行かなければいけない人たちは
もう電車に乗っている
まだ出勤しなくていい人たちも
そろそろ目が覚め始める頃
とにかく
今日も生きねばなるまい
あれをああやって
これは結局どうしたらいいか
そうそう
そっちのはどうするべきか

1の次は2
2の次は3
3の次は…という順番で
時間が進んでいくのだということに
しておく
とりあえずは
いい加減
もう長く生きてきたのだもの
時間が
世の中の申しあわせ通りに進んでいくなんて
けっしてないことは
もう
よくわかっているけれど

一時
二時
三時…
それはそれで
まぁ
いいさ
いい加減
もう長く生きてきたのだもの
時計には
廻らせておく
こちらの時間とは
ずいぶん違うのだとしても











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