2012年7月16日月曜日

千年の恋



街頭インタヴューに答える人たち
いつからか
テレビのコメンテーターかなにかみたいに
すらすら
きっちり
よどみなく
小器用に
小さくまとめて話すようになった

しかも
どの方面からもヒンシュクを買わないように
徹底的に自己検閲しながら
おりこうさんに
ペロッと吐き出す

日常でおしゃべりする人たちも
つまらないテレビドラマみたいに
ヘンなところにアクセントをつけたり
ボケをたくみに入れたり
お笑いめかしたり
いつからか
そんなふうに話している

だからどうだと言いたいのではないが
むずかしいな
ふつうに話すっていうのは
ムリして味を出そうともせず
かといって
ブスッと重苦しいでもなく
CMみたいにはしゃぐでもなく
疲れたなあ、…なんて
ひと言洩らすにも
たくさんの経験と偶然と
気取りのなさと
気づかいが要る
…たぶん

笹の葉が
さらっと風に鳴り
小川の水に流れていくように

さ、
び、 
し、 
い、

なんて言う人に
いまどき会ったなら

千年の恋に
落ちてしまうかも
しれません


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