九月二十四日
過たぬ輪郭として紫苑立つ
野分してまあ気分まで大袈裟に
初嵐髪嬲られる愉しさよ
颱風も騒がしき島もなほ遠し
秋の田を想ひ見るべし永田町
勉学に励みし頃の夜食かな
柚子味噌の旨きに惹かれ高台寺
高き皿わざわざ出して衣被
九月二十六日
秋冷を湯上がりの肌にしばし受く
出始めの頃の林檎を描きたし
山葡萄ゆめあこがれのありし頃
素麺で晩餐を締める生姜かな
九月二十七日
岸釣にまた誘はれて手帖繰る
水流を見続けるべし下り簗
秋の夜の自我とは薄きものならむ
捨団扇その傍らの鏡花集
老舗までわざわざ出向き新豆腐
水澄むや音も立てずに逝く歴史
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