愛するものが死んだ時には、
自殺しなけあなりません。
中原中也「春日狂想」
死んでしまったひとをわすれるわけではないが
思いのありかたは歳月とともにずいぶんかわり
生活の主役がようやく自分になりはじめてきた
それでもひとの死は少なくとも半分は自分の死
もう二度と戻ってこない時間の輪郭がきわ立ち
あの頃の自分までも永遠に失われてしまったと
朝夕にかかわりなくふかく大きく空洞に触れる
哀惜ではなくても惜の思いは周囲の風景に滲み
どんな晴れやかな好天の日も透明な喪中のまゝ
死と終焉と生とはじまりを同時にはこびつづけ
生きているなどとたったひとことで言いがちな
この過程この現象のなんと複雑すぎるありよう
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