2015年11月29日日曜日

玄関の楡の木


ペンを玄関の靴箱の上に置き忘れていたらしく
帰宅してみると楡の小さな木になって
それがもう初夏の真っ盛りのように葉をひろげて
玄関をすがすがしい青で染めていた
それ以来けっして玄関は使えなくなったわけでなどなく
週を追うごとに伸び広がる楡の木でだんだんと狭まったけれど
ちょっと枝葉を避ければまったく問題などなかったから
そのままにしておきながら一家の日々は過ぎていったわけさ
もう200年以上も経つというのに
うちの家族が誰も死なず病気にもならないのは
玄関の楡の木のおかげかもしれないと思う
よその人に言ってもきっと誰も信じないだろうから
こんなこと言わないで来たんだけれどね
でも本当のことですべては置き忘れたペンから
始まったことだったのさ



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