2019年5月1日水曜日

理性の手の届かないところで燃え続けている核燃料そのもの



                ピエール・ベールは異教徒の信仰が子供じみており、
     ばかげていると指摘したが、それは、キリスト教そのものを
     それとなく攻撃しているとも受けとれるように書かれていた。
                   ロイ・ポーター『啓蒙主義』*



ほんのちょっと立ち寄っただけの列島について
軽々に口を挟むのもどうかとは思われるが
この列島の民が維持し続けてきている天皇制は
理性の手の届かないところで燃え続けている核燃料そのものに思え
三十年ほどは弁えのある忠恕に厚い管理者が扱い
今後も次代の管理者は適切な配慮を続けると思われるものの
まわりには火力をやたらに強めようとする者たちも多く居り
単に島々の連帯のひかりとするに止まらずに
別の利用のしかたに転用していこうと図る者たちも少なくない
軽率な近代主義者ははやく核燃料を取り除けと言うが
列島の民の心性と感性の最奥部にそれが埋め込まれて燃えている以
取り除くなどということは容易なことではあり得ない
海のむこうの大小諸々の島々の民を見るにつけても
未だに絵空事の神々を人間愛の根底に据えて機能させていたりする
この列島の神々の紋章と同じものを頂く神を妄信する民など
その神を信じない他の民の土地を平然と奪って
定期的に街に殺戮の火の粉を降らせ続けている始末で
それを現代のローマ帝国は公然と認めて様々な援助を行ってさえい
大小諸々の島々に燃え上がっているいにしえよりの核燃料は
この列島のそれよりもはるかに理性の手を逃れている
フランス革命の時のように最高存在なるものを抽象的に措定し
それを崇拝するようなことをするのがよいとでもいうのか
それとも信仰の対象を近未来科学の最前線の知とでもするべきか
それもいいかもしれない
素粒子論やクオーク論の最前線や核物理学の最前線の知を信仰するならば
少なくとも原発事故の甚大な影響を受け続けている東日本を丸ごと
ただちに離れなければならないという科学的なご神託が下されようから




*ロイ・ポーター『啓蒙主義』(見市雅俊訳、岩波書店、“ヨーロッパ史入門”、2004Roy Porter, The Enlightenment, Palgrave, 2001])







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