ビジネス書の棚にある本をぜんぶ見ていたら
面白そうなものがあったので
よし
買っていくか!
と
三冊
四冊
五冊
六冊…
と抱え出してしまって
こりゃ
ちょっと多いな
待て
待て
アタマを冷やして来るか
と
そこを離れ
他の棚をあれこれまわって
料理の本だの
最近
開高健や三島由紀夫をニッチな選び方で入れ始めた岩波文庫の
新しいものだの
講談社学術文庫の
まだ買っていないものだの
ザッと見て
またビジネス書の棚に戻って
さっき欲しかった本を見直してみたら
どれひとつ
買うべき価値のあるものとは見えなくなっていて
ずいぶん
節約できちゃったよ
どの本も
結局言っているのはいくつかのことだけで
時間を大事にしろ
本当の効率とはなにかを考え直せ
これからヤバい時代が来るぞ
激動の今後を生き抜くにはこれこれこうするといいぞ
とはいえ全く予想不可能だぞ
だから自分の目と勘を鍛える他ないぞ
などなどで
つまりは
昔のゴダールの映画の題名にあったように
勝手に逃げろ/人生
とひとこと言っておけば済むわけで
次々あんなビジネス書なんか出さなくってもいいし
ましてや買うのなど以てのほか
なのであって
やっぱり
ビジネス書っていうのはファストフードのハンバーガーみたいなも んだ
と
再納得したのであったよ
なにかしら食べたようなつもりになっても
ソースが濃くって
添加物ばっかりで
本当の栄養がなくって
筋肉が付かずに役に立たない贅肉ばかり付いてしまう
が
ビジネス書っていうのは
にっぽん村のサラリーマンたちの不安を克明に写し取っている
ものではあるので
彼らの内面をよく表わしているから
ふんふんふーむ
と
ザッと見続けることにしておくのはいいと思うよ
ところで
ゴダールの
勝手に逃げろ/人生
の原題は
ソーヴキプ(ラヴィ)
Sauve qui peut (la vie)
で
もう連隊や旅団などの組織としてはどうしようもない事態となった から
逃げられる者は各自勝手に逃げろ!
逃げられない者は
ま
そこで死を待つんだね
式の
最終局面での命令を引用しているわけで
これ
ぼくがビジネス書の出版社で働いていたら
やってみるかもな
ソーヴキプ叢書
なんか
作っちゃって
どんどん
もっともっと
危機を煽るだろうな
にっぽん村のサラリーマンたちの内面を
どんどん
もっともっと
わさわさ
ぞわぞわ
不安に駆り立てようとして
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