どんどん悪人になっていくぼくがかんばしい
しかもどんどん胎児になっていくのだ
あたいのお腹のなかへのかんばしい旅だと最初思いかけたが
胎児のなかにあたいもお腹も包まれてしまうのが本当で
あたいとお腹は胎児のなかでけっこう張り合っている
そうしてぼくの居場所はそこにはまったくなくて
かんばしさが宇宙のこうばしさのなかに漂って
どんどん悪人になっていくのだなぜだかわからないが
目が見えているというのが光に射られていることであるように
悪人になっていくというのはなっていくことが悪人を食っていくの
宙を浮かんでいく
初時雨
ざらざらビニール屋根には音立てて降り落ちて
立つ
音があるからこそ
落差で生まれ続ける静寂がある
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