2022年11月25日金曜日

creatio ex nihilo

 

 

無からの創造

すなわち

creatio ex nihilo

 

後代のキリスト教で形成された

この宇宙観ほど

危険

なものはない

 

無から創造が可能なら

いつでも

有を無に戻せる

 

物質界の様相が意に沿わぬものとなれば

いったん無にして

その後の

ふたたびの創造を待つ

という態度が

容易に正当化される

 

この教義は

万物のかたち(エイドス=形相)だけでなく

質量=ヒュレーも

神が創造したという発想から来る

紀元3世紀の教父

テオフィロスやオリゲネス以後の発想である

 

浅薄な煽動思想として

SDGsという危険思想を耳にするが

もし

少しでも本気でSDGsするなら

まずは

キリスト教を殲滅するところから始めるべきである

 

善のふりを何百年もしてきた

大本の巨悪をそのままにしておいて

なにがSDGs

 

もっとも

キリスト教が支えてきた

地上悪を除去して

物質界の基底部に残っている

キリスト教以前の本源状態に対してSDGsする

という気ならば

別だが

 

しかし

どこまで遡るつもりか

全きアイオーンたる

プロパテール(原父)やビュトス(深淵)までか

それとも

そこから流出した四つのものの状態までか

それとも

さらにそこから流出した八つのものの段階

すなわち

「根源的なオグドアス」までか

それとも

さらにその後に流出したものたちから成る

三十のアイオーンのある段階までか

 

オグドアスの段階で

古代エジプト神話まで

遡らねばならなくなるだろう

エジプト神話では

天地創造以前の混沌とともに

男女四組の八神が存在したとしている

 

オグドアス概念は

日本の神話や伝承にも飛び火している

『日本書紀』における崇神天皇の巻においてさえ

は特権的である

 

九年春三月十五日、

天皇の夢の中に神人が現われ

教えていわれた

赤の楯八枚

赤の矛八本で

墨坂の神を祀れ

また

黒の楯八枚

黒の矛八本で

       大坂の神を祀れ




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