旅の比喩は
もういいだろう
列車の棚に
そのまま
置いてきても
名もわからぬ
たくさんの
若草を摘みに
出たまゝ
帰るのを忘れ
水辺に行き
町のへりを過ぎ
山の夜陰も
心細く抜けた
成長
などと
甘えた言葉は
使わない
刈り取られ
喰われるための
語だから
ひとり
刈り取られず
喰われないなら
成長はない
いちばん外に
ある意識は
人の世をどう
見るだろう
冗談さえ
発しないか
喜怒哀楽も
とうに剝れて
空の
はじまるところ
終わるところ
そのように
受けとる意識が
なおも
一所に定まらず
蠢き続けて
ときおり
こんな語を
連ねたりする
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