さとう三千魚氏よりの詩の依頼に応えて
…気づくと、
(…“気”が、“気”づいた、のか…、
秋のからだをセンソォーのような香りが
戦争…、のよーな香りが
伸びていく
里
さとう三千魚さんから
複雑な潮騒の響き、轟きが
電線なんぞ伝って、の、(透明電線…?)、小さな、…便り、(shi、
shi?、…し、詩を…)
わたshi、…と呟きさえせず、舌先で、舌奥で、
言葉、声以前の、音のまろびを、転がりを、わたshi、
わたshi、と…
…また、遠いところに(…ゐるやうだ、
ゐるやうだ、浦の苫屋が
あそこに見えてゐて…)
さとう三千魚さん、海の人、(間違いかしら…)
わたshi、数か月、海の匂いに
包まれていなくて、…(ニンピニン、に、
その分、なったかしら、…なッちゃッた、かしら…)
(shi、
shi?、…し、詩を…)
わたつみ、shi、わたshi、
海、ゆかば、…
海、ゆかば、…わたshiは人魚に会いまする
トリトンに会いまする
鋼であれ、木材であれ、運ぶもの、それに頼って…
海、ゆかば、…
(あゝ街で心は逝ってしまう、逝心、逝人…、
(だからといって…、
…其処此処でshi、shi、shi、…わたshi、わた死、でも、
あったか、あったの、か、…今になってわかるとは、イハナイ、
ずっと死っていたこと、「裏切られてきたのさ…」、否、いいや、知って、
いたんだもの、裏も切られていないし、…表?
は!
は!
(…緑が足りない、そう思うんです、よく思う…。部屋には、緑、
(いっぱいにしてるんですが、たとえば、鞄、開けますね、あっ、
(緑が足りない、…よく思うんです。たとえば、時計、見ますね、あっ、
(緑が足りない、秒針も、分針も、時針も、茎でできていない、
(文字も葉でできていない…
海、ゆかば…
((((((潮騒だって、足りていないじゃないのサ…
((((((潮騒だって、足りていないじゃないのサ…
((((((潮騒だって、足りていないじゃないのサ…
わたshi、街の人、(間違いかしら…)
…叫んでも駄目なのさ、
(駄目なのさ、、、、
[…面白いねぇ、馬、太、目、…、
うま、
た、
め、
うまため、うまため、うまため、…
どこが、駄目だってンだろ?
うまため、うまため、うまため、…
「叫んでもうまためなのさ、」って、
言っていた、だけだったのか… (なのさ、…)
菜の砂。
紋切り型のデートをしたかった、花村美世子さんと
菜の砂の
むこうまでずっと広がっている海辺で
ただ手を握っているだけで
手さえ握らず
ただ隣りあって歩いているだけでも
花村美世子さんと
花村美世子さん、菜の砂の人、(間違いかしら…)
))))))あゝ、鎌倉あたりでの能が、秋、足りていない…
))))))晩秋までに、初冬までの、ふしだらな能好みの女体を抱きたい…
欲望を淹れて
カップからはロシア戦役の湯気
わたshi、どんな肉に宿っているか、
わたshi、どんな思いに宿っているか、
わたshi、どんな耳と耳の間に(と、アイヌ人なら歌う…)宿っているか、
どうでもよい、
そんなこと…
わたshi、あなた、穴多、あ鉈、anata、an at a、…
それとも、穴他?…
わたshi、穴他、穴多でないこと、証明できる?
(…“気”が、“気”づいた、のか、…
(そうして、
(“気”が被った、
(わたshi、?、…
穴他、穴多でないこと、証明できる?…
波の音が絶えたことはない街
波の街
街が波から逃れることはできないであろう
街
街々
穴他、穴多でないこと、証明できる?…
海、ゆかば、…
わたつみ、shi、わたshi、
あそこに見えてゐる
浦の苫屋まで
は
行く
とにかくも
行く
わたつみ、shi、わたshi、
行きましょー
行きましょー
行きましょー