昔といっても…
たかが一生のうち、数十年前を、昔とは、
ひょっとしたら、大袈裟な言いようかもしれない…
あなたさま、と、ふざけて「さま」 を付けて呼んでいた人の夢を見たが、
夢の中で、そのひとに呼びかけているのだった、…
「あなたさまの夢を見ました。
「もう少し顔が細くなっていて、西洋風な骨格でしたが。
「ローマの遺跡を作業所にしたような白い壁や床の場所で、
「 僕は古代の美術や文書に関わる短い論文を仕上げているところでし た。
「締めきりがその日なので、最終確認をしているという感じです。
「壁にスクリーンがあって、 そこに論文を映し出して作業しています。
「ずいぶん現代ふうな器材があるわけです。
「そこへ、あなたさまが、
「問題となっている文書や美術の写真を持ってきてくれました。
「それを論文に加えてうまくレイアウトすれば、
「もっと見やすくわかりやすくなるわけです。
「その写真を論文の中にレイアウトしているあいだ、
「 あなたさまはうしろで切り株ふうの大理石の柱に座っていました。
「作業しながら、『そうだ、 このひとの抱えている問題はどうなんだろう?』
「と思い、作業を中断して、
「座っているあなたさまの手や腕をとって、
「『大丈夫?どんな調子?』と尋ねたり、抱きしめたりしました。
「だいたい、このような夢だったのです。
ただの夢といえばそうだが、…
これを見て目ざめた後、
この人生での「あなたさま」との関わりを超えた
もっと広く長いパースペクティヴを思い出したような気がしていた …
「あなたさま」のことをどのように位置づければいいかについて、
もっと正しい感覚が得られたような気が…
これから「あなたさま」のことを思う時は、
この夢で拡げられた流れをベースにして思うようになるだろう、 と、…
しかし、「あなたさま」に会っていたのは、
もう、40年以上も昔のこと、…
気まぐれにであれ、もう一度会ってみようなどとは、
そうして、「あなたさま」の位置づけを
もっと正しい感覚でやり直してみようとするにも、
いかにしたら、…
はたして、いかに、したら、…
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