2015年10月24日土曜日

優しいといえば優しい

  
モーツァルトの
特にピアノ・コンチェルトの古楽器演奏を
ひさしぶりにたくさん聴いていると
バッハとはどう違うか
他の作曲家とはどう違うか
やはり
いろいろ考えさせられる
他とはとんでもなく異なったものが
この人の頭を流れて行ったのが
よくわかる

惹きこまれて
あるいは
この不思議な音の流れの秘密に
深入りしていこうとして
人は研究者になったり
演奏家になったりしていくが
けっきょく数百年後
残り続けるのはモーツァルトだけ

もちろん
そんなことでかまわないのだけれど
中にはきっと
モーツァルトなんか放り出して
まったく別物の
じぶんの音楽を作るべき人たちも
いっぱいいただろうと思う
モーツァルトを褒めそやす風潮の中で
世間と音楽とじぶんを繋いで
なんとか生き延びていくために
じぶんの時間を失っていってしまったような
残念な人たち
ワーグナーの後のマーラーのように強くは
他の作曲家を弾き返す無礼さを
持てなかった
優しいといえば優しい
人たち

   


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