2017年4月1日土曜日

慎ましいぼくだけの人生



電灯の光の中にバッタは迷うけれど
黄緑の古代語辞書を
ラーメン屋のカウンターに忘れかけたので
寿建設にはきっと悲惨な花嫁が来る
記念日のない中年少年と
下弦の月を持たない老年少女は
それに合せて山羊を歓待するに違いない
それに忌避されて鉛製の通信簿を
九条葱の恥部にめり込ませて
後は貼るだけの鴬の民法シニア講座
栞に春の若布のまだ青々しい部分を選び
会ったこともない姉を探しに出た
慎ましいぼくだけの人生
だけを凝視しているぼく



0 件のコメント: