2017年4月5日水曜日

子どもの頃に見た絵本の中に



ぼくは頭が人いちばい悪いかもしれないけれど
それでもいいと感じている

子どもの頃に見た絵本の中に
こんな絵があった

満月の夜
赤ちゃんをおぶったお母さんが
井戸端に立って
赤ちゃんに
子守歌を歌いながら
あやしていて
そうして
なぜだか覚えていないけれど
ネコだか
タヌキだかが
微笑んで
赤ちゃんのほうを見上げながら
井戸水を引き上げている

ネコだか
タヌキだかも
お母さんも
赤ちゃんも
満月に煌々と照らされて
明るさと陰とを
劇的に帯びている

ぼくは頭が人いちばい悪いかもしれないけれど
それでもいいと感じている

子どもの頃に見た絵本の中に
こんな絵があった
という
ことだけで
もう
なんだか
すべてはいいのだ
この世に来た意味は十分あって

そうして
そういう意味は
もう
済んでしまっている
完了してしまっていると
つよく感じている
から




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