2019年2月23日土曜日

西のベランダに面した掃き出し窓から夕陽が……[場所2]

  

夕方、居間兼キッチン*には、西のベランダに面した掃き出し窓から夕陽が射し込む。よく晴れた日には、オレンジ色のつよい日差しの場合がある。
まだ夕飯には間があるので、この時間帯にトーストを食べることがある。厚いガラスを上に置いた構造のスチールテーブルの上でバターを塗っているところに、オレンジ色のひかりが射す。溶けていくバターからほのかに湯気が立ち、これがひかりの美しさに恵まれた特別な瞬間だとわかる。トーストを口に運ばずに、バターの溶けていく表面をしばらく眺める。
ひかりの出どころである夕方の太陽は、大きな半熟のゆで卵のようで、西に浮かんでいる。太陽を隠さないで、上下に紫がかった雲が浮いている場合もある。高層マンションのガラスが陽に反映している。
こういう時間に居合わせるたび、生涯で二度と、これほどの居間に住むことはあるまいと思ったが、その後移り住んだ住まいの居間も、べつの美しい忘れがたい様相に恵まれていた。

*世田谷区三軒茶屋2-30-3 ルミエール三軒茶屋 305 居間




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