2012年4月29日日曜日

ガーベラの旅 ピンクの旅




ベルギーのビスケット
Lotus
バッグの内ポケットにいれたまま。
となりには
ウォーターマンのボールペンも
挿して

旅が続いている

荷物、
どこまで減らせるか…
そうは思うものの
軽み信仰に安易には入らぬがよい
荷物は肌
外界から身を守るもの
どこでも裸になればいいというほど
簡単ではない
薄く軽くつよい肌
望みたい
旅が鍛えてくれるものと

路ばたに生えていたヒナゲシを取らず
300円のガーベラを花屋で買い
帽子のリボンに挿す
黄と赤とピンクで迷ったが
ピンクにした
枯れてくれるな、しばらくは
開ききった心のさまの
旅の伴よ

少し冷たくなってきた風に匂う
遠くない雨
ひとりで濡れたこと
ひとりでなかった時のこと
砂ぼこりのようにひとしきり思い出は立ち
砂ぼこりのように薄まり下りていく

曲がらない道のむこう
角に子どもがいる
指をくわえ
こちらを見ながら立ちつくして
ガーベラが歩いていくのを見ているのか

そう、ピンクのガーベラだ!
歩いていくのは!

わたしの旅はついに
ガーベラの旅
ピンクの旅
あの子の心に到り
抜けていく
あの子の未来となって
その先に
さらに



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