体の肉さえもがじつは金泥でできていると
どこで知ったのだっただろう
幅のひろい長い白い階段を下りていく途中ですれ違った
肩から胸元のあらわなドレス姿の婦人に呼びかけられ
ふり返ってよくその顔を見ると
むかしよく知っていた女友だちのひとりだった
露出している肌はどこも金砂を練り込んだように輝いていて
きみの胸元を見るだけでも本当なのがわかる
体は本当に金泥でできているんだね
そう言うと彼女は
あたりまえのことはいつも忘れられるもの…
と微笑んで
ひさしぶりだったわね
と言葉を交わした
つよい夢から覚めると
―ひとりであることはなかった
―いつも
とひさしぶりに思い
周囲の空気感のようなものを丁寧に捉え直しながら
うわべだけ起きているという
このいっそうつよい夢のなかを
もっとよく
心で手さぐりしていこうと努めはじめた
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