2014年3月23日日曜日

処女!とまるでお祓いのように



紅葉が
チョコレートのジェラートに
すこし凍え
コバルトブルーに
なり切る夢

たえず
微細に震え続ける
細い糸が
目に触って

かすがす
かすがす

意味もよくわからないまゝ
発していると
赤紫の深い色の車が
ゆるりと走り来て
だれかを攫っていくとともに
だれかを降ろしていった
これも

背の
シャツの襞を
触っていたのは誰?
目に見えなくなったからといって
見えなくなった
わけでは
ないでしょ
暗い午後の船着場の倉庫に
行かなければいけない
行かなければいけない
けれども
雑草の疎らすぎるのは心ぼそいなぁ
もっと
あの人の肌に触れておくべきだったと
後悔
ではないが
心ぼそい
(太陽も
(長いこと上っていなくて
掌の
(しかたなく
ある個所を
すこし強く指の先で
爪先で
押してみては(たぶん、ふいの泉
(湧出などを
(願って
(いる

ただの思いつきから
古い感傷的な詩を気取るように
(ちょっと猥褻さも伴って
処女!
と言ってみる
処女!
処女!

ガーゼでできた大きなローブを着て
どこか恐ろしい人影が
しだいに近づいてきて《処女!》となるように
いや、ならないように
処女!
処女!
とまるでお祓いのように






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