書くということ
感情や考えや認知内容を書くということ
それしか書けないということ
書くということ
ことばを書くということ
それしか書けないということ
ことば以外のものをどう書くか
感情や考えや認知内容以外のものをどう書くか
…たぶん書けないだろうということ
ことばはすべて借り物だから
ことばで自己を表そうなんて馬鹿げているということ
そもそも自己はだれもが持っているから自己でなどないこと
ならばなにを書くのか
それでも書くのかと何十年も考えたあげくに
いま書いているということ
文字と呼ばれる線や点のくみあわせを記す時に
きっと脳内で快楽ホルモンが放出されるのだろうと思っていること
それだけのことだろうとは思っているということ
書くということを
だからいくらでも低められるし軽んじられるということ
にもかかわらず書くということ
…まぁそろそろ話をかえて
ここには書かないけれどあれやこれやの楽しいことや
美しいもののことを思ってみるということ
あれやこれや…とずいぶんと遠巻きにほのめかすだけにとどめて
それ以上はまったく書かないし
教えないということ
ここまで十連も書いてきながら
けっきょく大事なことはちらりとも見せないということ
こんなふうに迂回しまくって隠し通すということ
それが書くということ
本質にも真実にも触れずに触れ得ずに
そう、あなたの人生の越し方とまったく同じように