2014年5月28日水曜日

遅すぎることなどないから



   
軀に寄り添って

(…あるいは寄り添われて

いるあいだの
晴れた空や
風や

過ぎていく
どれも

過ぎていく
ようだが

過ぎていく
なにが?

過ぎて
いかない
生きているもの
生きているひと
本当にいるのなら
見てみたい

とりわけ
ひと

一度も
会ったことはない
生きているひと
には

見分け方?

ひとが歩き去った後を
見続けてごらん
生きているひとなら
どこまでも
質の密なものが続いている
遠いところから
ずっと
質の密なものが続いている
切れ目なく続く
太い太い飴のように

まわりに空間があるなら
それは
生きていないひと

生きているひとなら
まわりに
空間はない
隙間はない

そうは見えなかった?

ならば
あなたのこれまでは
たゞの無駄事だったということ
生きてなど
いなかったんだ
あなた

おいで
密なもののほうへ

遅すぎることなど
ないから





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