2014年5月29日木曜日

時間の外に居続けるものたちの



真夏の暑さとはちがって
さわやかながら
それでも
いっぱいに膨らんだ風船のような
朝からの
はつ夏の暑さ
午後には
温泉のそばにでもいるようで
からだじゅうを
ぴっちり
はつ夏の暖気で包まれている

こんな空気に
いったい何十日
何百日
包まれて
エレーヌと過ごしたかとふと思い
どの時間も
瞬間も
まったく失われてなどいないのを感じ直し
過去だの
終わっただの
そんな思いかたの深い過ちを
また反省させられる

きのう繁華な街かどで
白人の美しい見知らぬ娘とすれちがい
やわらかな金髪の揺らぎや
遠い湖のような青い目が
いままさに若さを生きているのを
きらきらと受け止めるようだったが
見知らぬ娘よ
あなたのいまをすでに
すべてわたしは生きてしまって
そうして
驚いてはいけない
いまでもすべてを生き続けていて
すべてはいつまでも現在で
時間というものがじつはないのだとも
わかっていて…

だから
わたしには昔がたりはできない
過去をしか語れない物語や
小説などのかたちが
どうしてわたしの性に合わないのか
それは
わたしが時間の外にいるから
すべてがいまも
おそらく明日も生きていて
なにもかもが進行し続けていて
距離をとることでしか成り立たない
語りというものを
わたしが行い切ることができないでいるから

詩神よ
なにも失われず
終焉せず
いつまでも継続し続けると知って
時間の外に居続けるものたちの
唯一の拠りどころよ
あなたに
ふたたび拝礼奉る…






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