2014年6月23日月曜日

泡立つ過去の扱いを



恋人がむらさきになったので
泡立てて
ちょっとしっかり洗う
カリフラワー

お財布の中に
入れておいたレシピの紙片
失くしたようだけど
なんとかなるわ

過去のすべてを生き続けて
いない人や驢馬など
いないから
といっても忙しい あたし

汗はいつからか
ラベンダーとライムの香り
だれのためにも生きないと
ようやくツグミが歌う

いまのまゝでいいことなんて
なぁんにもない町のはずれ
籐の買い物籠をさげて
おばあさんしてもいる あたし

長いながい転生を
してきたのよ 容姿も性も性格も
とっかえひっかえしながら
形而下連中につき合って

けれどマーガレットと蘭を
いっしょに髪に挿す夜明けには
それも終わり おばあさんの下の
むくつけき闘士が剣を抜くから

むらさきがどれも恋の思い出に
なる頃あいもとうに過ぎても
あいかわらず洗っている
カリフラワー それに脳も

無くしたレシピの紙片など
いらないのは 腕に染み込んだから
泡立つ過去を扱いを
足先の小指でさえ知り尽くしているから




0 件のコメント: