上り調子の快活な暑さも
もう
衰えたというのに
夏休み
などという嘘の
口先ばかりの
印象操作が子どもたちに仕掛けられ続けている
暑さが続く
といったところで
もう
まとわりついてくる憑依のような
時代遅れの暑さで
ガッカリさ
海だって
もう
クラゲばっかり
砂浜には
もう
ヴァンカも
ルイーズも
キャサリンもおらず
ぼくはひとりで
棒で線を引いて歩き続けたり
桜貝を拾ったり
ときどき立ち止まって
だれもいない海にむかって
大きな貝の割れたのや
水に揉まれてつるっとなった石を
投げたりするだけ
せっかく
まだまだ海にいるのに
魂のぬけたような
しらっちゃけはじめた夏の
この残像の
ありありとした
さびしさよ
宿では今夕も
きっと
サヨリやアジを焼いてくれたり
サザエも壺焼きにしてくれたりするだろうが
ぐっと数の増えた
コオロギたちの声が
ちょっと立て付けの悪い戸のすきまから
ほのかな安手の永遠のように
ずいぶんと親しげに聞こえてきて
ぼくの気持ちを
ものの終わりというもののほうへ
散らしていって
しまうにちがいない
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