2024年10月6日日曜日

この波を聴くのを選ぶ人が多くなれば

 

 

 

ローマ人は砂漠をつくり、それを平和と呼んだ。

タキトゥス

 

 

 


 

シンプルながら

豊かな響きが奥深い

Per-Olov Kindgrenのクラシックギター演奏で

バッハのG線上のアリア(BachAir on G String

を聴いていたら

J. S. Bach: Air (Classical guitar) - Per-Olov Kindgren

https://www.youtube.com/watch?v=FUPx42UmSng

音の精霊たちが来て

ギター演奏なら

Xuefei Yangもとてもいいだろう?

Per-Olov Kindgrenよりも

ちょっと速い弾き方をしているけれどね

Xuefei Yang - Bach - Air on G String

https://www.youtube.com/watch?v=Z-Es3-oBmVQ

と勧めてくれた

 

 

ギター演奏を聴いていると

もっとオーソドックスな弾き方の演奏も

ひさしぶりに確認し直したくなる

 

 

オーケストラ演奏なら

小澤征爾が1995年にN響を振った時の

演奏がとても繊細でやさしく

味わいも複雑でとてもよかったと

精霊たちに勧めた

Seiji Ozawa/NHK Symphony Orchestra(1995.1.23)

https://www.youtube.com/watch?v=5G7Vc0zFnOM

 

 

たしかに

とびきりの演奏のひとつだ

と精霊たちは賛成してくれたが

コープマンがベルリンフィルを振った時のものを

忘れちゃいけないよ

とひとりの精霊が出して来たので

Bach: Air / Koopman · Berliner Philharmoniker

https://www.youtube.com/watch?v=Yy2uHAS-el0

みんなで聴いてみると

小澤の演奏よりもくっきりと進ませて

たぶんこちらのほうがバッハの思いには近かったかな?

と思われた

 

 

小編成だったけれど

Ricardo Casero Orquesta Reino de Aragónを振った時の

鮮明ながらやさしい演奏もよかったよ

と他の精霊が聴かせてくれた

Bach: Air on the G String (Orchestral Suite No. 3)

https://www.youtube.com/watch?v=1PkD47rNkfY

 

 

ぼくらは

宙に浮かびながら

いろいろな演奏を空に映じさせて

みんなで聴き続けていた

いつのまにか

もっと高いところに上っていってしまい

風に吹かれるわけでもなく

自然に

位置的にも

地球上を移動しはじめていた

 

 

やっぱり

ヴァイオリン演奏を忘れるわけにはいかないね

ひとりの精霊が

Anne Akiko Meyersの演奏を

聴かせてくれた

BACH AIR Anne Akiko Meyers & Wendy Chen

https://www.youtube.com/watch?v=DiNyXWBvrTo

ぼくはAnne Akiko Meyersを聴いたことがなかったので

これは発見だ

と嬉しかったが

バッハのG線上のアリアなら

どうしたって

韓国の名バイオリニストKyung-Wha Chungの滋味あふれる演奏を

逸するわけにはいかない

Kyung-Wha Chung : J.S.Bach - Air on the G String

(arr. from Orchestral Suite)

https://www.youtube.com/watch?v=x1_bCsEHJ2c

聴かせると

たしかに

これはいちばんかもしれない

ヴァイオリンでこれ以上の演奏はなかなかないかもしれない

とみんな喜んだ

 

 

上空の

空気の流れもない高度を

見えない

感知もできないものの流れに押されて

だんだんと移動し続け

近ごろ

砲弾がたくさん落されたり

ミサイルが飛び交ったりしているあたりの上に

ぼくらは漂ってきていた

 

 

この下では

近ごろ

たいへんなことになっているよ

ぼくらのいる此処は

こんなに静かで澄んでいるのにね

と言うと

これからもっと

騒がしくなっていくよ

ある精霊が言った

 

 

たくさんの霊が出るけれど

ここまでは来れない

もうちょっと下に漂ったままになってしまう

でも

いま聴いているG線上のアリアは

砲弾がたくさん落されたり

ミサイルが飛び交ったりしているあたりまで

波となって降りていくんだよ

聴きとれる人たちには聴きとれる

地面や草木や物質には浸透していく

壊れた壁や瓦礫に

G線上のアリアの波は沁みていくんだよ

聴きとれる人たちには聴きとれる

聴きとれる人が多くなれば

乱れた意識の波から出る声や言葉よりも

人はG線上のアリアを聴くほうを選ぶようになる

 

 

ほかの精霊たちも

口々に

こんなことを言った

 

 

ちょっと変わったところで

Jacques Loussierのジャズ演奏もやっぱりいいものだよ

もうすっかり古典だ

とひとりの精霊が言い

ひさしぶりにLoussierを聴くことになった

Jacques Loussier - Air On A G String

https://www.youtube.com/watch?v=14AhD3xdoMk

ああ

これは名品だなあ

いい演奏とか呼ぶのでなく

名品といった言い方をすべきだね

とある精霊が感服して言った

 

 

Loussierのバッハなら

G線上のアリアだけでなく

この機会に

これも聴き直しておこう

とべつの精霊が

Prelude in C major BWV 846 from the 1st part of "The Well-Tempered Clavier"

Fugue in D major BWV 850 from the 1st part of "The Well-Tempered Clavier"

Brandenburg Concerto No. 5 in D major BWV 1050

"Jesu, Joy of Man's Desiring" from Cantata No. 147

などの演奏光景を空に映じて

天空はみごとなバッハのピアノ音響で満ちた

Jacques Loussier Solo Piano: Play Bach (1997)

https://www.youtube.com/watch?v=HCQxP5jUrXc&t=91s

 

 

ピアノ演奏となれば

バッハのG線上のアリアについては数えきれないほどだが

Igor Levit

余計な思い入れを排していながら

クリアで味のある演奏がとても気に入っていたので

精霊たちに聴かせてみたら

これは大絶賛された

Igor Levit - Bach (arr. Siloti): Air from Suite for String Orchestra No. 3

https://www.youtube.com/watch?v=4lXO9XbfaRY

 

 

もちろん

Friedrich Guldaの名演も

忘れられないけれどね

ひとりの精霊が

確認するように響かせた

ジャズピアニストでもあったGuldaだから

Loussierと同じ精神が

音に沁みているね

Friedrich Gulda: J. S. Bach - "Air" from Suite No. 3 in D major

for Orchestra No. 3, BWV 1068

https://www.youtube.com/watch?v=OrCclFH5Mkw

 

 

現代の演奏なら

Beatrice Berrutのテンポも

いいんじゃないかな?

とべつの精霊が勧めてくれたので

みんなで聴いてみると

これもよかった

やはり演奏に時代というものはあるね

Beatrice Berrutにしても

Igor Levitにしても

現代だなあ

Friedrich Guldaとははっきり違うね

さっきGuldaを出してきた精霊が言った

Bach : Air on the G String (Piano)

https://www.youtube.com/watch?v=G5-gATRSF6g

 

 

ちょっと変わったところでは

ハーモニカ演奏も

なかなかバッハに合っているんだよ

と聴かせてくれた精霊がいた

J. S. Bach - Air on G string : G 선상의 아리아

https://www.youtube.com/watch?v=Yj7m0699opE

ハーモニカ演奏も

いろいろな人がやっているけれど

Jong Seong Parkのこの演奏には

よけいな抑揚が付かなくて

いちばんすっきりと入ってくる

ハーモニカでここまでバッハをやれるんだと

発見させてくれた演奏だよ

と精霊は加えた

 

 

人声だけでコーラスで演奏するものにも

なかなかいいものが多いね

これなんかどうだい?

ある精霊は

Bel Canto Choir Vilniusを聴かせてくれた

Air on the G String (Suite No. 3 by J. S. Bach) – Bel Canto Choir Vilnius

https://www.youtube.com/watch?v=Pr9B3ipwMx8

 

 

俗に言えば

ダバダバダ…で歌うやり方だね

それなら

ウーという声だけで歌うThe Swinglesのパフォーマンスも

とてもいい感じだよ

他の精霊が出してきた

The Swingles - Air on a G String, J. S. Bach, arr. Ward Swingle

https://www.youtube.com/watch?v=03Gn4loM7As

 

 

そうだね

人声で演奏するものには

もっとオーソドックスに

ソプラノ歌手が歌うようなかたちが

世界中でなされてきている

Olga Bolgariが歌い

Peter Illavskyがチェロを弾いている

こんな演奏のようにね

Air in G Major by J.S.Bach

Olga Bolgari, Soprano, Peter Illavsky, Cello

and the Philharmonic Choir of Kostroma

unter the baton of Alexej Melkov

perform the. Live and unedited performance 05.11.2016

at Philharmoni in Kostroma

https://www.youtube.com/watch?v=wmKIX2-lVvo

 

 

いま聴いているG線上のアリアは

砲弾がたくさん落されたり

ミサイルが飛び交ったりしているあたりまで

波となって

かならず

降りていくんだよ

また

精霊が言った

 

 

聴きとれる人たちには聴きとれる

 

 

地面や草木や物質には

容易に

浸透していく

 

 

壊れた壁や瓦礫に

G線上のアリアの波は

すっと

沁みていくんだよ

 

 

聴きとれる人たちには聴きとれる

聴きとれる人が多くなれば

この波を聴くのを選ぶ人が多くなれば…

 

 

精霊は

そう言い続けた

 





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