2024年10月13日日曜日

べつの地球をまたひとつ


 

 

    創造、大きな問題だな。

       安部公房 『悪魔ドゥベモオ』

 

 

 


 

どんなに長生きしたところで

100年後には死んでしまっていて

この地球上にはいないだろう

数十年後にはいないかもしれないし

それどころか

もう数年後にはいないかもしれない

 

 

宇宙規模で考える時間スケールを使えば

今後も地球上に滞在するのが

あと数年であろうが

あと数十年であろうが

あと100年であろうが

誤差とさえも言えないどうでもいい違いに過ぎない

 

となれば

宇宙規模の時間スケールで考えれば

わたしはすでに死んでいる

それどころか

わたしは生まれたことさえなかったようなものだといえる

宙を飛んでくる蚊が

人間にパチンと潰されて死のうが

ボウフラとして水中にいる時に殺されようが

卵の状態で殺されようが

ほとんど変わらないようなものだ

 

とすれば

すでに死んでいるわたしが

生にまつわるあれこれについて

いろいろ思い悩むのは馬鹿げている

あらかじめ死んでいるばかりか

いつもいつでもどこまでも

生まれてさえいないようなものなのだから

地球上の生について

まじめになど考えるのは馬鹿げている

 

基本的にこう思っているので

地球上の生を

なにかとても大事なもののように決めつけて

あれやこれや考えたり

嘆いたりするひとたちとは

そりが合わなすぎる

 

さようなら!

というわけだ

 

ついでに言えば

地球自体も

30億年から50億年後には

消滅してしまっている

この20億年の差はずいぶん大きいけれど

このくらいのスケールになると

短かろうが

長かろうが

こちらには関係のない話である

 

たまたま

なにかの拍子に寄ってしまって

つかの間

ちょっと滞在してみていても

この地球というやつも

どうでもいいのではないかと

どうしても思える

 

神から授かった地球

などと

大げさに考えたがるひともいるようだが

地球ひとつダメになったって

ほんとうの神なら

造物主なら

べつの地球をまたひとつ

ヒョイと

作り出せるはずだ

 

ひとつといわず

いくつでも

ヒョイ

ヒョイと

 





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