2011年5月22日日曜日

うららか



うららか
ということばが好きなので
むすめが生まれたら
ふたり生まれたらだけど
うらら
ららか
と名づけようと思う

ひとりだったら
どちらにしよう
迷うかな
うららか
と名づけちゃう
かもしれない

生まれなかったら
うららか
ということばを
娘に見立てて
かわいがっていこう
春のあたたかい日
桜咲くベンチで
うららかと隣りあって
お花見もする
お弁当も使う
さっぱりしていて
それもいい
弁当はひとつで済むし

うらら
ららか
ふたりが
生まれたら
生まれたで
どちらが生きのびていくか
気になってしまう
介護ホームで
うららさ~ん
ららかさ~ん
と呼ばれるのまで
聞こえるようで

うららか
ひとりが生まれたら
生まれたで
八〇歳をこえた
わが娘の背が
見えてきてしまう
春のあたたかい日
桜咲くベンチで
父と隣りあってしたと
お花見もするか
お弁当も使うか
さっぱりしていて
それもいい
弁当はひとつで済むし
と思ってくれるか
たったひとりで

ああ娘よ
娘たちよ
春のあたたかい日
桜咲くベンチで
たったひとりで
お花見
お弁当
させるために
おまえを
この世に呼んだのではないと
父を
信じ続けてくれるか
うらら
ららか
うららか
この名のように
ただ
生きよと
願った父を
信じ続けてくれるか

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