2013年1月14日月曜日

あなたがたが消えていったことを





東京にひさしぶりに雪が降って
うちから見えるながめ
外の近いところのながめに
やわらかく
はろばろ目を放ち
写真を撮ってもみたり
子どもらの遊ぶすがたを
追ってみたり

羽のように
大きなかけらとなったり
吹きつけたり
ひさしぶりの雪は
楽しかった

そうしながら
し続けてきている
詩のようなかたちの
書きつけを
思うともなく
思っていた

だれにも届いていない
それらは
わたし自身には
雪のように冷たく
さびしいだけの手ざわり
それでも書きつけているのは
だれにも届かないでいいと
心のそこまで覚悟させられた
数十年の来しかたがあったから

風向きが急にかわり
雪片が吹きつけてくる

それを受けながら
遠いとおい
わたしにだけは
届かせるように書きつけようかと
たぶん
数十年ぶりに
思った

いつのまにか
わたしに向かってさえ
書くことを
捨ててしまっていた…

さびしいことばの使い方を
もう
やめてもいい頃か
わたしにそれを強いた人びとも
ようやく
消えていったから

わびしい師たちよ
さもしい友たちよ

わたしの心から
あなたがたが消えていったことを
わたしはほんとうに
ほんとうに
うれしく
よろこばしく
思っている



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