テレビのある居間は
自室からは遠く離れていて
(なにせ
(古く廃墟になっているものの
(巨大なホテルに住んでいるものだから・・・
なにかを見ようと思い立って
歩いていっても
テレビの前に着くまでに
15分はかかる
いつの頃からか
どうしてだったか
そこのテレビを
ずっと点けておくことにした
15分かかって
居間に行ってみると
テレビが点いている
なにか番組を見ようとは思っておらず
たまたま映っているものも
ちゃんと見ようとは思わず
出ている音や
動いている色やかたちに目をやって
居間の端に立ち続け
ちょっと歩いてみたり
また
別の角に行ってみたり
そうして
消しもせずに
また
居間を出て行く
いつの頃からか
どうしてだったか
これが
ちょっと
気に入るようになった
いつの頃からか
どうしてだったか
これが
気に入るようになったどころか
わたしというものの
軸のひとつのようになった
居間から離れたどこにいても
戸外にいても
旅をしていても
あの居間のテレビが点いたままになっていて
わたしというものの
軸のひとつのようになっていて
朝も夜も
あの居間のテレビを思って
じぶんの向きを整えたり
さまざまな物事との間隔を
調整していたりしている
人びととの関係も
距離のとりかたも
あの居間のテレビを中心にしながら
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