小さなエレベーターに乗ったら
高校生の女の子も後から乗り込んできて
小さなエレベーターでならお決まりのごとくに
なんとなく気まずい感じで黙りこくり
はやく目標階に着かないかなぁと
階数表示が変わっていくのを
まるで
眠くてたまらない時の授業の黒板に
数学の先生が
どんどん
書き並べていく数字のように
じーっと
見つめ続けていたら
ブッ
というより
ビッ
と
聞き違いようもない
あの音
が
して
それはどうしようもない明証性をもって
女の子から
発せられたものだったので
あっ
やったな
とは思ったが
きみ
やったでしょ?
とは
もちろん
聞くわけにはいかない性質のことでもあるので
あいかわらず
黙っていたけれど
それに味をしめたからなのか
それをいいことにというべきなのか
よっぽど溜まっていたからなのか
しばらくして
ビッ
ビッ
ビーッ
と連発して
もう
もう
あまりにも歴然と
堂々と
高校生の女の子はやらかしたのだった
東京って
こういうところです
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