(深みをめざす時のことばが
(どれほど読みづらい
(自己陶酔いっぽうのものになってしまうか……
(金魚すくいのポイのような
(ぺらぺらの
(すぐ
(悦ばしく
(破れてしまう
(ことばを
(こそ
(宙から
(どう手に入れるか……
わたしはきょうも暮れがたの森の薄やみのなかを歩いて来て
木々の音
葉々の音
夜にそなえる鳥たちの声
なおもなにかを啄む音
離れたところを行く人の枯葉を踏む音
もっと遠くで鳴る車の音を
映画のなかでする音のように
わざとらしくさえある
特別な効果音のようなものとして
聞いていた
暮れがたの薄やみはなかなか分厚くて
ああ
闇というのはやっぱり
温かいものだった
と
たしかめ直していた
街に戻ると
楽しい
暮れがたは
楽しい
会うべき人もないのに
するべきこともないのに
信号の
青や
赤のあかり
自動車のライトの
つよさ
折れ
曲がり行き
ボディを流れ続けるひかりたち
どれもうつくしく
映画のなかでみる色やひかりのように
わざとらしくさえある
特別なもののようで
街に戻ると
楽しい
暮れがたは
楽しい
暮れがたの森の薄やみのなかを歩いて
帰ってくると
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