2019年4月4日木曜日

雲 あそこ 薄紫


 
雲があのあたり
指のように下りてきている
煙のように

薄紫色がかっているので
薄紫のように
と言ってみたく思うが
日本語は許してくれないだろう
どこの言語なら許してくれるだろうか

そんな許しを求めて
求め
求めて
詩歌のかたちを借り続けてきたが
詩歌でさえ
めったなことでは
許してくれない

雲 あそこ
指して 下りてきている
薄紫して

すこし近づく

下りてきている
でさえ
ひどく離れた嘘の言い方で
ほんとうなら

下り 来 る

ぐらいに言いたい

わたしは
ほんとうに
助詞
助動詞
きらいだ

それらを多用した詩歌
それらに頼った詩歌
ほんとうに
きらいだ

助詞
助動詞
わたしだって
使っている
浸かっている

あそこ
薄紫



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