2012年3月13日火曜日

きらきら





タンポポの
第2代ロチェスター伯爵*より賜った
イタリア職人丹精の張型
ポピーの
夕陽きらめく
アザレの
テムズ川辺に置き
ロワイヤルのラムレーズンアイス(大)はやく
買ってきてね、ドライデン
急いで! 急いで!
ヒナゲシの
ジョイスの後で書くとは何、何、何、
スカンポの
ヘミングウェイのシャツの簡素さ
カモンと
カミングス
るれるれるれるれ
打ち合わせ会の後すぐに飲み会
ブルビネラの
英単語
語彙が足りないからわからない
ネイティブ同士の会話
甘露煮だけでも
シンフォリカルポスの
ニッポンは
天国の隣りの隣りの隣りの…
3丁目ぐらいの…
現実には、アハァ、
そう高望みするもんじゃないよ
ユーチャリスの
萎んできた乳の垂れた
助産婦さん
センニチコウの
皺の多い手で
明日のためのガーゼの袋を束ね、夕方、あ、
グロリオーサの
別れ
イキシオリリオンの
暗夜の駅
クリップひとつ
ふたつ
カンパニュラの
脇腹の美しかった国境の娘から口移しでウィスキー
ワイヤープランツの
かけねばならない電話も
おさおさ
怠けて
ぐずぐずと
リューココリネの
氷ほおばる麗子
靴買いに
ベロニカの
野の父
来る風
来ない風
バンクシアの
ふいに誰もいない校舎の階段、昼、真夏、雲の
白い
遠い流れ
アジアンタムの
みたらし
見たら死
憎たらし
肉垂らし
スローボートtoチャイナ
ちっチャイナ
おおチャイナ
Oh! チャイナ
大チャイナ
ラナンキュラスの
食べ終わったビスケット缶また棄てられずにとっておく幼い大人
津波ニハ
黙ッテ流サレル
ソンナ人ニ私ハナリタイ
なりたかねえ
成田かねえ
ミヤコワスレの
黒髪の
ずんずんとずんずんと面白い現世、歳をとるほどずんずんとずんずんと
フリージアの
初級文法いつまでもくり返す言語もいくつか
ツルバギアの
流れる大河
城、城、城、城、城、
旅愁、しかし
トイレ
ウナコーワ
蚊がいるんだもん
ハーシーでなくキャドバリー
深みのない浅見くん
給食は今日はサバの竜田揚げと大学イモと
ストレリチアの
朝な夕な
神を思え
それは神の目ならどう見るか思えということ
引いていく潮も
風に揺れる草の穂先も
本のページの破れも
フォックスフェイスの
賛美のみすべし
老いた
母たちが糸車を廻し
老いた
父たちが荷車を引き
なにをしてきたのだと吹き来るゼフィロスがわたくしに言う
うらぶれて
モンテブレチアの
そこかしこ
枯葉
ラストダンス
サンフランシスコ
イスタンブール
ボロニアの
まだまだ青い心の先っぽに
小鈴鳴らして
マトリカリアの
外苑前
これも永久の響きを帯びて
死床には
発音されるやもしれぬ
エクセルシオール
朝の人
生きわかれ
死にわかれ
チーズケーキの
醍醐味の
パンジーの
意味から出なさいはやくはやく
血がまだ明るいうち
寒くならないうち
夕凪が強くならぬうち
ほうら
ほうら
車のランプが
さびしい明かりをつけ出して
遠い岬に
遠い心
さびしいねえ生きるって
さびしいねえ生きるって
海はうねるだけ
なにか言っても言わなくてもうねるだけ
どうにもなりゃしない
どうにもなりゃしない
ふっと
やる気を失い
ガーベラの
後は
満天の星
きらきらと
どうにもなりゃしない
どうにもなりゃしない
きらきら
きらきら





*第2代ロチェスター伯爵は、ジョン・ウィルモットのこと。


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