2012年3月23日金曜日

横断歩道のほとり、渋谷

2007429日の反古に2012215日手を入れ直す… 予期もせぬ註付きで…)





深夜など過ぎて
とうに過ぎて
そろそろ朝がた
朝に入っていく頃
渋谷を歩いて抜けて帰る
通る車も少ないのに
律儀にながい信号を守って
横断歩道のほとり
待っている

すると

過ぎていく車


美しいのだ
どれも
ボディに流れる街灯や
信号のあかりが
すずしい光の筋になって

(頂点ニイル!
(ヒトリデコンナ美ヲ獲テ!

(…コノ世ニハ
(友ヲ持ツタメニ来タノデハナイ
(愛サレ理解サレルタメニ来タノデハナイ…

落ちてくる
思いの
いなずま

また一台
美しい光の流れを曳いて
過ぎていく

友もない!
国もない!

守り拠る文化もない!
行くべきところもない!

また一台!

また一台!

  (頂点ダ!
(頂点ニイル!





*なぜ行間を取り、カタカナに書き替え、「!」を多用することにしたんだろう?今日、2012215日、東京、曇り、寒い、寒い日… 少し体調悪く、シリア情勢悪く、ジェイムス『大使たち』の翻訳酷く、苛立ちアリ。おお、はやくBalzacLa peau du chagrin(バルザック『あら皮』)再読にかかりたい!ちょっと若書きの、あの本の中に、この間、ちょっと気まぐれに捲った際、至上の行を幾つも見出し直していた… 1980年頃、バルザスィアンだった私は、いつも携えていた、どこへ行くにもPléiade版巻Ⅹの『人間喜劇』哲学的研究… 鑑賞用ならぬ感傷用に、中島みゆきと大貫妙子をよく聴いていた… 李さん、元気かな… 在日二世の李さん、太い腕、肉付きのよい肩、胸、がっしりした腰の李さん… 80年代は、あなたの匂い、五月末の木々の青臭さに混じって… もう30年以上は過ぎ、長く長く仕舞いこまれたままだった鮮やかな、熱い、雰囲気だ… 変な註を書く気に今日はなって… 註と本文とどちらが大事か、主か、本当は、註と本文とでは… 細い線を、いや筋を、引くように生き延びてきて、こんなところで李さん、あなたをありありと思い描いている… 



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