2013年2月9日土曜日

映画館の比喩 




映画館に入って
映画を見続けている状態A
映画館に入らずに戸外で過ごしている状態B

生きている間の意識状態は、映画館内の映画

状態Aは誕生から死までの時間に該当
映画館内での映画視聴によって
戸外のいっそう基底的な現実の認識が妨げられている

一般に、状態Aこそ生と考えられているが
状態Aは、いっそう基底的な現実Bから遠ざけられた特殊な状態
Bが認識できない点を重視すれば、むしろ死の状態

映画の視聴をやめ、映画館から出なければ、状態Bへの復帰はできない
人間においては肉体の死か、
あるいは、なんらかの肉体の超越を経てはじめて可能

ある程度の年齢までは、
映画館に籠もって映画を見続けることも経験にはなるが
歳が進んだり
十二分の「映画体験」を経たのちには
この仮状態を捨てるべき時期が到来する



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