かわりに凍えていってくれる…

またコーヒーが冷えてしまっている…

冷えたコーヒーが嫌いかといえば

そうでもないと思う

淹れたての熱いコーヒーはもちろん好きだが

熱さが好きなのではなく

香りがひきたつのが好きらしい

味はどうかといえば

熱いのより

少し冷めてきたぐらいのほうがいいかもしれない

冷たくなったものは

温いものより味は落ちるようだが

悪くなるとはいえない

そんなことを思いながら

冷えてしまったコーヒーをまた飲んでいる

飲むというより

自分の作業にコーヒーを伴わせるのが好きだから…

同伴者…

わたしが知らず知らず被っている

この世の冷えのようなものを吸って

かわりに凍えていってくれる…

すっかり冷たくなったカップを手にしながら

そんなふうに思う

知らず知らず

また

こんなにもわたしは

冷えてしまっていたのかと…