悪魔のように誠実
ヘンリー・ミラー
いま記し始めた
これらの言葉たちにしても
誰にも
読まれることはない
読ませはしない
決して
そうして
詩
などとはもちろん主張しようとはせず
たゞ記し手の束の間の
鏡
あるいは
仮足場
のようなものとして
なめらかに忘却の河を下って行かせる
河下りの
途方もない寂しさ
方途のなさの最中にあってさえ
詩
などと
これらの言葉たちが
主張しないように
詩
とは
真
善
美
と同じ究極の概念で
いかなる場合でも
最も遠い他人からの最後の評言でなければならないから
おゝ神よ
どうか
詩
を書く
書いている
書いた
などと口走る
者たちをお赦しください
0 件のコメント:
コメントを投稿