2016年1月24日日曜日

大寒の荒川



深く濃い青をあつめ
めずらしい貴重なもののように
午後三時半
荒川は流れていた
水辺の丈高い草々は
きれいに赤く枯れ
河畔の柳も赤毛

どこまでも続く
長いながい剣のような
ギラギラと濃い青のさまは
どうだ
濁った茶緑色の時が多いのに
ありふれた荒川の
大寒の午後の水面ときたら
どうだ
カメラを持ってきていたら
夢中になるだろう
いつまでも
何枚も撮り続けるだろう

鋭い水面の鱗をキラキラさせ
青く黒く明るく
起伏に富んだ水面を
延々と敷きのべている
この荒川ときたら
まるで世界の名所の
どこかの絶景のようで
午後三時半の光の中
格別の賜物のように
来合わせた者だけへの
おおっぴらな魔術のように
恐ろしいほどの煌めきの
鉱脈の露出のように
冬の水の粋に成り切っている




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