2017年2月8日水曜日

すでに未来の時のなかで



Ce lieu me plaît....
Chateaubriand
Mémoires d’outre-tombe, Livre premier I


居間からは
木々のいい様子が見える
地面には冬でも
緑の丈低い雑草が
遠くまで続いている

前の住居でも
その前の住居でも
居間から
居ながらにして
これだけの
木々や草の様は見えなかった

この場所は
気に入っている
いつか
此処も離れるだろうが
この眺めは
いつになっても
思い出すことだろう

そう考えながら
まだ蕾をつけたのまゝの
サクラの木々を眺め
近づく春を前に
枯れ色の葉を落としたばかりの
ユキヤナギの茂みを眺める

此処を離れたあと
いつになっても
この眺めを
思い出すとすれば
わたしは今
すでに
未来の時のなかで
わたしのなかに開ける光景を
見ている
ということか

見えている
これ
見ている
まなざしが
すでに
わたしの未来
ということなのか



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