本当にしゃべりたいことをしゃべれないので
しゃべる必要は本当はないのだと痛切に思いながら
いつも
曖昧なほほえみを浮かばせながら
人の話を聞いていたりする
本当に書きたいことだって
もし書けばたちまちぜんぶの人間関係は瓦解するし
仕事もすべて失うだろうから
書かないで
フィクションに逸れたり
添加物のような褒め言葉を塗りたくったり
そればかりではない
本当に書きたいことを本当に書こうとしても
書く行為は逸れと豹変を本性としているから
書きたいと最初に思ったことなど
いつのまにか書く行為そのものによって放擲されてしまっていく
数語進めば
数行進めば
もう別の時代が来てしまう
書きたいと最初に思ったことへは
永遠に行き着くことはできない
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