2019年6月27日木曜日

相成って御座候



浮世の事を外になして…
     井原西鶴『好色一代男』


到来物のきしめんでも
食べようか

茹で時間十分
というのは
長いような気もするが
どう食べよう
考えているうちに
すぐ
経ってしまう

粉末のたれは
260ccの湯で溶け
とな

宮きしめん
というそうで
熱田神宮から宮の字を戴いた
栞にある

名古屋には幼時に住んでいた
血は江戸っ子だが
心は名古屋っ子
あの頃
あったのかな
この店
スガキヤは
覚えているけれど

添えるべきものがなにもないので
葱もなし
ほうれん草もなし
かまぼこもなし
お揚げもなし
ゴマをかけ
生玉子だけ垂らして
食べる

あゝ、
おいしいな
きしめんというのも

やはり到来物の
江戸味噌を
小皿に
すこし取り
ときどき
摘まみ

やはり到来物の
京都
三宝庵の笹ちりめんを
ちょっと
きしめんの上に
振り

そう悪くない
味の
かるい
昼餉

気づけば
名古屋
江戸
京都
揃った食卓
とは
相成って御座候




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